羽黒山周辺の
寄り道スポット
地域の未来を見据えた
こだわりのラーメン
「国民食」といえるほど人気の高いラーメン。山形県は各地に特徴的なラーメンがあり、鶴岡市など庄内地域では魚介のだしを利かせた「酒田ラーメン」が人気。地元産小麦を麺に使っているお店を訪ねてみた。
「酒田ラーメン花鳥風月」は酒田市、鶴岡市、山形市に計4店舗を展開。加えて、移動販売車での出張やイベント出店なども積極的に行う。ニューヨークでのラーメンコンテストで3位入賞を果たすなど高評価を得ている。鶴岡店は基本年中無休で、午前11時から午後9時まで営業。タイミングを逃した時のランチなどにも便利だ。明るく広い店内は家族連れにも良さそう。極薄でまるで雲を呑むような食感のワンタンが載る「海老(えび)ワンタンメン」が人気。
庄内地域では、農と食を地域の中で循環させ、持続可能な食料自給を目指すことで農村の新たな姿をつくろうという「庄内スマート・テロワール」の取り組みが行われている。花鳥風月はこの取り組みに参加し、庄内地域で栽培された小麦「ゆきちから」を麺に使用している。代表取締役の佐藤勇太さんは「地域内循環の確立にラーメンには何ができるかを考えたのが参加するきっかけでした」と語る。
中細の縮れ麺は自社製造。小麦の風味を生かすため保存料を使わず、食感を良くするため数日寝かせてから使っている。 数種類ブレンドしている小麦粉の一つが庄内産「ゆきちから」。味と香りが良く、滑らかで食感が楽しめる麺に仕上がっている。庄内地域では「ゆきちから」とは違う種類の小麦の栽培も始まっており、将来的には庄内産小麦のさらなる導入拡大も期待される。
黄金色のスープの中から麺をすくい、一気にすすり上げる。口に含むと、ほのかな小麦の香りともっちりした弾力が感じられる。飲み込む時のつるりとしたのどごしが心地よい。澄んだスープは魚介ベースで深いうまみがあり、上品な味付けが麺の個性を際立たせる。素材の一つ一つを吟味し、丁寧に調理していることが伝わってくる。ワンタンに入っているエビのぷりぷりした食感がアクセントになり、最後のスープ一滴まで楽しめる一杯だ。
「麦秋」とは初夏のことをいうが、まさか山形県内で麦秋の風景を見られるとは思わなかった。鶴岡市松ケ岡の麦畑では、月山を背景に、しっかり実った小麦が収穫を待っていた。かつて庄内藩士が刀をくわに持ち替えて開拓し、養蚕や果樹栽培に挑戦した場所で、今また小麦栽培という新たな挑戦が始まっている。こうしたストーリーを知れば、ラーメンもさらに味わい深いものになるだろう。
鶴岡市は国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の創造都市ネットワークの食文化分野に国内で初めての加盟となっている。多彩で奥深い鶴岡の食文化は、この地で味わうものの多くから感じ取ることができる。