羽黒山周辺の寄り道スポット羽黒修験の世界を追体験できる|JR東日本

Tohoku Relax

  • X
  • Instagram

羽黒山周辺の
寄り道スポット
羽黒修験の世界を
追体験できる

日本人にとって山は「神の宿る場所」。山岳信仰と神道、仏教が結び付いて成立したのが修験道だ。
出羽三山におこった羽黒修験のエッセンスが
凝縮されている
羽黒山荒澤寺(こうたくじ)
正善院黄金堂(しょうぜんいんこがねどう)で、
羽黒修験の世界に触れてみよう。

羽黒山の宿坊街・手向の一角に建つ羽黒山荒澤寺 正善院黄金堂は国指定の重要文化財。1193(建久4)年に源頼朝が家臣に命じて建立したともいわれ、現在のお堂は1594(文禄3)年、ほぼ全面改築に近い形で大規模に修復されたもの。羽黒山内に建つ寺社仏閣の中で最も古いとされている。羽黒山頂に建つ「大金堂」(現・羽黒山三神合祭殿)と対を成す「小金堂」とも呼ばれていたが、御本尊の33体の聖観音菩薩像が黄金色に美しいことから「黄金堂」と称するようになった。

画像

黄金堂には2対の仁王像が鎮座する。参道入口の仁王門に1対、道内にも1対。このうち堂内にあるものは運慶、快慶と同じ慶派の仏師善慶により、京都清水寺の仁王像を模して江戸時代につくられた。もともと羽黒山石段入口にあったが、明治期の神仏分離令に伴い移された。神仏分離令により、羽黒山内の多くの寺院、仏具、仏像は破壊され、焼却され、一部は転売された。その中で唯一、黄金堂に運びこまれ難を逃れた仏像たちが安置されている。

画像

本尊の聖観世音菩薩像は等身大の像が33体並び、荘厳な雰囲気が漂う。この観音像は羽黒山上の羽黒山大権現が麓まで参拝者をお迎えに来られたお姿であり、「33」という数字は、観世音菩薩が33の姿に化身して衆生救済することを説く経典に由来している。さらに昔の日本の66カ国中、東半分の33カ国の総守護神として源頼朝がこの観音像を配置したとの記録が残る。修験道の神秘に心を寄せながらお参りすれば、体中に力を注入されるような感じがする。

画像

堂内の回路に沿って秘仏と対面。神仏分離令に伴い羽黒山内の仏閣から移されたもので、堂内は随神門から石段を登り、五重塔、羽黒山頂、そこから旧道を通り月山へ至る順で仏像が配置されている。羽黒修験の教えとなる神仏分離令以前、神仏和合のままの出羽三山を参拝できる「立体曼荼羅」となっている。一巡りして多くの仏像たちとご縁を結べば、出羽三山巡りを追体験することができる。多くの像に命名されている「権現」とは、神仏習合の思想に基づいて日本の神々を仏の化身として捉え、仏が一時的に神の姿で現れることを意味する。

画像

出羽三山を開いた能除(のうじょ)聖者(しょうじゃ)(蜂子(はちこの)皇子(おうじ))が般若心経の読誦に明け暮れ開悟に至ったことから、羽黒修験の山伏は般若心経の教えを重んじる。朗々とした読経の声、全身に響き渡るほら貝や太鼓の重低音が魂を揺さぶり、違う世界に足を踏み入れたような感覚に襲われる。修験道の神秘の一端を味わうことができた。

画像

出羽三山参拝は「生まれかわりの旅」といわれる。実際に山々を巡るのもいいが、三山の権現たちが集う黄金堂を参拝する、凝縮した形での「生まれ変わりの旅」もまた、新たなパワーを与えてくれる。

※拝観をお受けしていない日
8月/全日
9月/1日~4日、17日~19日、23日
10月/12日~15日